2026.07.18
パルミジャーノ・レッジャーノと抜群の相性を誇る日本酒、一ノ蔵「Madena(マデナ)」誕生の物語
パルミジャーノ・レッジャーノと抜群の相性を誇る日本酒、それが、ワインの醸造技術を取り入れて生まれた「Madena(マデナ)」である。宮城県の酒造会社、一ノ蔵が手がける日本酒Madenaは、伝統的なマデイラワインの製法を日本酒に応用し、温泉熱による熟成を取り入れた世界でも珍しい一本。ミラノ酒チャレンジ2025で、パルミジャーノ・レッジャーノとの相性を評価する部門の最高賞を受賞した。 そんなMadenaを生み出した一ノ蔵の代表、鈴木 整さんに、Madenaがどのようなお酒なのか、さらにパルミジャーノ・レッジャーノとのMadenaを使ったおすすめレシピについてうかがった。
伝統的なマデイラワインの製法から生まれた日本酒
――Madena(マデナ)とは、どのような日本酒ですか?
「ワインの世界には、世界三大酒精強化ワインと呼ばれるものがあります。“シェリー”、“ポート”、そして“マデイラワイン”です。一ノ蔵『Madena』最大の特徴は、この中でもマデイラワインの製法を日本酒に応用したことにあります。酒精強化という手法を取り入れ、さらにマデイラワイン特有の“加温熟成”、つまり熱を加えて熟成させる製法を組み合わせ、誕生したのがMadenaです」

――そのような発想はどのようにして思いついたのですか?
「日本人が初めて口にしたヨーロッパのワインは、シェリーやポートだったのではないかと言われています。その頃、日本でも日本酒に焼酎を加え、酒質を長持ちさせる製法がありました。そうした歴史を知り、“この技術を日本酒に応用したら面白いのではないか”と考えたのが私の父でした。
父はヨーロッパ各地の酒精強化ワインの産地を訪れ、現地で学びながら研究を続けました。ところが商品化を果たす前に亡くなりました。その意志を引き継ごうと考えたのですが、その後、2011年に東日本大震災が発生しました。そこで一度は諦めかけたのですが、“東北のお酒を応援しよう”という大きな支援の輪が広がり、“いまだからこそ挑戦しよう”と思ったのです。そうして2013年にMadenaのプロトタイプが完成しました」

一ノ蔵本社蔵
世界でも珍しい温泉熱熟成への挑戦
――温泉の熱を活用するというアイデアはどのように生まれたのですか?
「マデイラワインの最大の特徴は、“常春の島”とも呼ばれる温暖な気候を生かした熟成方法にあります。しかし宮城県は、日本酒を仕込む時期は温暖ではない。そんなとき、東北大学の先生が温泉の地熱を産業利用する研究をしていると耳にしました。調べていくと、温泉熱が活用できるという結論に達しました。私が調べた限りでは、温泉熱を利用して熟成させるお酒は唯一ではないかと思っています」

ミラノ酒チャレンジで認められた実力
――ミラノ酒チャレンジに参加したきっかけを教えてください。
「ミラノ酒チャレンジ自体、比較的新しい日本酒コンテストなんです。イタリア国内でも、日本酒の需要が少しずつですが着実に生まれてきています。特にイタリアのソムリエの方々が、日本酒に強い関心を持ち始めています。ソムリエというとワインを提供する仕事というイメージがありますが、実際には世界中のお酒に精通し、料理との相性を考えながら提案することに情熱を注ぐ方も多くいらっしゃいます。
ミラノ酒チャレンジの特徴は、イタリアの食材とのマリアージュ、つまりフードペアリングを評価する部門が設けられていることです。なかでもパルミジャーノ・レッジャーノとのベストペアリングとして、マニフィカ賞(部門最高賞)をいただけたことは大変価値のあることで、まさか自分たちの日本酒がその賞をいただけるとは思っていませんでした」

株式会社一ノ蔵 代表取締役社長 鈴木整氏。
――パルミジャーノ・レッジャーノには、どのような印象を持たれていらっしゃいましたか。
「Madenaの試作段階から、“どのような食材と相性がいいか”ということは繰り返し検証していました。さまざまな食材と合わせて試したなか、“チーズとのペアリング”にはかなりの手応えを感じていました。世界にはさまざまなチーズがありますが、その中でも“チーズの王様”と称されるパルミジャーノ・レッジャーノとのペアリングがもっとも優れた日本酒という評価をいただけたことは、本当に大きな勲章をいただいたような気持ちです」

おすすめのデザートペアリング
――今回ご提案されているレシピについて教えてください。
「日本酒の世界では以前から、甘口の熟成酒を使った楽しみ方の一つとして、バニラアイスクリームに熟成酒をかける食べ方があります。洋酒でもよく見られる楽しみ方ですね。
今回、我々のスタッフが考案したレシピは、そのアレンジになります。バニラアイスクリームに、削りたてのパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりとかけます。さらに少しだけ塩味を加え、その上から甘みと酸味のあるMadenaを回しかけて楽しんでいただくレシピです。アイスクリームの甘さ、チーズの濃厚なうま味と塩味、そしてMadenaの酸味と甘みが重なり合い、とても奥行きのある味わいになります」

――最後に、皆さんにMadenaをどのように楽しんでほしいと思いますか。
「今回、パルミジャーノ・レッジャーノとこのお酒との出会いについて私がお伝えしたいのは、これは大航海時代から続くロマンがぎゅっと詰まった組み合わせであるということです。イタリアと日本が歴史の中でつながり、その長い交流の延長線上に、今回のチーズと日本酒の出会いがあります。そんな物語を思い描きながら、このお酒をパルミジャーノ・レッジャーノと一緒に楽しんでいただけたら、とてもうれしいです」
というわけで、まずはミラノ酒チャレンジ 2025で部門最高賞を受賞したMadenaと、パルミジャーノ・レッジャーノの組み合わせを、そのままブロックでお召し上がりいただくのがおすすめ。
そのうえで、パルミジャーノ・レッジャーノとMadenaのペアリングをお楽しみいただく、デザートレシピをご提案いただいたので、ぜひお試しを。
Madenaとパルミジャーノ・レッジャーノの『蔵出し琥珀アフォガート』の作り方
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マニフィカ賞受賞記念セミナーを開催
なお、ミラノ酒チャレンジ 2025でMadenaが「マニフィカ賞」を受賞したことを記念し、5月19日に仙台市で特別セミナーが開催された。

当日は、一ノ蔵の鈴木代表によるマデナの紹介に加え、パルミジャーノ・レッジャーノの歴史や特徴についてのセミナーを実施。さらに、マニフィカ賞の副賞としてイタリアから贈られた約40kgのパルミジャーノ・レッジャーノのホイールカット・パフォーマンスが披露され、参加者には切りたてのパルミジャーノ・レッジャーノが振る舞われた。

会場には、飲食店や酒販店の関係者をはじめ、シェフやソムリエなど数多くの食のプロフェッショナルが来場。Madena誕生のストーリーやパルミジャーノ・レッジャーノの魅力に熱心に耳を傾けた。また、パルミジャーノ・レッジャーノを使った料理も提供され、Madenaとのペアリングを実際に味わいながら、その調和が生み出す豊かな味わいを体感する様子が見られた。

豊かな旨味を持つパルミジャーノ・レッジャーノと、それを引き立てるMadena。互いの魅力を高め合うこのペアリングは、日本酒とチーズの新たな可能性を示している。ぜひ一度、その美しい調和を体験していただきたい。
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文 曽宮岳大
写真 望月勇輝
※パルミジャーノ・レッジャーノが認定を受けるPDOとは:
パルミジャーノ・レッジャーノは、EUの原産地名称保護(PDO)に認定されているチーズです。添加物や保存料を一切使用せず、伝統的で自然な製法によって作られています。また、世界で最も模倣や偽造が多いチーズの一つでもあり、PDO制度はこのような製品の呼称や品質を守るために設けられています。
欧州連合規則 第1144/2014号に基づくプログラム101194314 ENSO-EU ― 欧州連合の共同出資による。
※EU規則1144/2014に基づく、EU支援の農産物販促プロジェクトです。

