STORY
「円」に込められた意味。
筆が動く。
しなやかに進む彼女の手先に迷いはなく、自信に満ちているように見える。
何度も同じ軌跡を辿ったことだろう。
けれども同じ文字を描いても出来上がる作品は毎回違う。
まるで一期一会の出会いを楽しんでいるかのような、生き生きとした息遣いを感じる。
円相とは、一筆で描かれた円を表す。
完全無欠な円は、人々に安心や喜びを与え、過去から未来へと続く流れを感じさせる。
先達からの教えを守りながら、そこに自身の経験と情熱を重ねていく。
日々の鍛錬の積み重ねにより行き着く領域。筆先に先達への敬意、作品と向き合う精神、内に秘めた情熱が滲み出る。
円相に完成はなく、その時々の書家の心、その日の空気や空の色もが作品に影響をもたらすこともあるという。
完成した作品を見た人がどう捉え、何を感じるか。
答えはいつも違う。異なって然るべきなのである。
書家、中塚翠涛さんは言う。
「書道は一本の線に思いや物語を込める芸術であり、心を表現するためには技術や技能の追求だけでなく、日々の鍛錬が重要になります」。
そして自身のシグネチャー作品である円相について次のように述べた。
「円相は心の窓とも言われています。真円の形の美しさに目を奪われますが、同時にその1本の線には、書家がこれまでに積み重ねてきた鍛錬や経験が込められます。私自身、1本の線にどれだけの物語を紡げるかを常に意識し、作品づくりに向き合っています」
長い時間をかけて紡がれてきた伝統や人々の想いが込められた円相。
それはまさにパルミジャーノ・レッジャーノの歩みと重なる。
当Webサイトでは、パルミジャーノ・レッジャーノにまつわるさまざまなストーリーを紹介していく。