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「幕張メッセで示されたパルミジャーノ レッジャーノの多様な楽しみ方。スーパーマーケット・トレードショー・レポート」イメージ

幕張メッセで示されたパルミジャーノ レッジャーノの多様な楽しみ方。スーパーマーケット・トレードショー・レポート

2月18日(水)から20日(金)まで、幕張メッセ全館を使用して盛大に開催されたスーパーマーケット・トレードショー。今年で60回目を迎える「食」の大展示会だ。パルミジャーノ レッジャーノ チーズ協会もブースを出展し、あわせてセミナーを開催。セミナー会場ではホテルニューオータニ幕張の総料理長が腕を振るった、パルミジャーノ レッジャーノを使った料理も提供された。イベントの模様をレポートする。

熟成の違いを味わう3つの個性

スーパーマーケット・トレードショーは、スーパーマーケットを中心とした食品流通業界に最新情報を発信する展示会だ。全国47都道府県から2,151の企業・団体が出展し、3,671小間を展開。会場には多彩な商品や提案が並び、各所で試食や新商品の発表が行われ、終日活気に包まれていた。

パルミジャーノ レッジャーノ チーズ協会のブースでは、12カ月、24カ月、36カ月の3種のパルミジャーノ レッジャーノを用意し、テイスティングを実施。食べ比べることで、熟成がもたらす風味や食感の違いを体感できる構成とした。初日にはチーズカットのパフォーマンスも行われ、多くの来場者の足を止めた。

実際に口にした人からは、「どこで購入できるのか」「おすすめの食べ方は何か」といった質問が相次いだ。熟成年数による味わいの違いに驚く声も多い。質感や見た目だけでなく、旨味や香りの広がりが変化することに関心を示す人も目立った。スタッフは「熟成違いを一度に楽しめる機会は貴重。ぜひ体験してほしい」と丁寧に説明していた。

「外皮は捨ててしまうのか。もったいない」という声もあった。外皮(リンド)はスープのだしとして使ったり、焼いたり揚げたり様々な調理法で楽しめることを紹介すると、腑に落ちたように納得の表情を見せた。試食のパルミジャーノ レッジャーノの減り具合からも、このチーズへの関心の高さが窺えた。

セミナー会場で語られた「パルミジャーノ レッジャーノ道」

展示会場に隣接するニューオータニでは、トレード関係者向けのセミナーを開催した。オープニングに登壇したのは、パルミジャーノ レッジャーノ チーズ協会 日本事務局のティツィアナ・アランプレーゼ氏。会場に集まった食品流通業界のゲストに「パルミジャーノ レッジャーノ道」という日本独自のコンセプトを紹介した。

九州大学への留学時代に剣道や茶道を学んだ経験から、彼女が強く印象に残ったのは「達成とは結果ではなく、その道のりを尊ぶこと」という価値観だったという。その精神は、パルミジャーノ レッジャーノの生産工程にも通じる。

北イタリアの5つの県(パルマ、レッジョ・エミリア、モデナ、ポー川右岸のマントヴァ、レーノ川左岸のボローニャ)でのみ生産されるパルミジャーノ レッジャーノは、酪農とチーズ作りから始まり、その後最低12か月、長いものでは100か月以上熟成される工程を経て完成します。そのすべての工程が、伝統と職人技、そして忍耐によって支えられている。一つひとつの丁寧な作業の積み重ねが、唯一無二の味わいを生み出す。禅の円相になぞらえて語られたその哲学は、ブランドの背景にある文化を浮かび上がらせた。

続いて、イタリアから来日したトレードマーケティングスペシャリスト、アマンディーナ・フェレイ氏が、日本市場の現状を報告。2025年、日本市場での販売量は761トン。為替や価格上昇の影響はあるものの、日本は依然としてアジアで最重要市場であり、プレミアム領域での成長可能性が高いことが示された。

さらに興味深かったのは、欧州で人気のパルミジャーノ レッジャーノの楽しみ方だ。近年、アペリティーボ(食前酒)として、パルミジャーノ レッジャーノをワインやビールとともにチャンク(塊)で楽しむスタイルがますます広がっているという。また、スナックとしての消費も増加しており、アマンディーナ氏は、一日のどの時間でも家族みんなで楽しむのが一般的だと説明した。

ホテルニューオータニ幕張総料理長に聞く、パルミジャーノ レッジャーノの表現

セミナー後には、来場者をもてなす料理が振る舞われた。手がけたのはホテルニューオータニ幕張の総料理長、小出裕之氏。すべての皿にパルミジャーノ レッジャーノを用いた。

「考えているうちにアイデアが次々と浮かび、少しずつ品数が増えていった」と小出氏は笑う。構成は前菜、メイン、デザートの三部立て。主役はあくまでパルミジャーノ レッジャーノであり、ほかの食材はそれを引き立てる存在として組み立てたという。

ホテルニューオータニ幕張の総料理長、小出裕之氏。

印象的だったのは、あえてイタリア米ではなく、赤米や黒米などの「国産雑穀米」を選択。追求したのは、最後まで食べ飽きない軽やかさと、ぷちぷちと弾ける食感のアクセント。

「合わせるパルミジャーノ レッジャーノは、余熱で優しく溶かし込むのがポイント。香りを逃さないよう、温度管理には細心の注意が必要」と語る。

仕上げに乗せたのは、手間暇かけた自家製チャーシュー。醤油の風味がチーズの芳醇なコクを抱き込み、イタリアの伝統に日本のエッセンスが融合した、独創的な旨味の相乗効果が垣間見られる。

「意外と醤油とも合う。遊び心を少し入れた」というシェフの言葉に、創作への探究心が表れているように感じた。

ラビオリを着想源にした一皿も登場した。見た目は餃子だが、中身はパルミジャーノ レッジャーノの旨味を中心に構成したイタリア風の仕立て。焼かずに蒸すことで、チーズの分離を防ぎ、やわらかく包み込むような味わいに仕上げた。火入れの強さがチーズの個性を左右するという。パルミジャーノ レッジャーノは多様な楽しみ方ができることを、改めて実感させる一品だ。

パルミジャーノ レッジャーノと野菜の餃子。

さらに目を引いたのは、パルミジャーノ・レッジャーノを贅沢にまとった「いなり寿司」だ。

甘辛く丁寧に煮含めたお揚げに、削りたてのチーズを表面が見えなくなるほどふんわりと振りかける。その佇まいは、まるでアペリティーボ(食前酒)に添えられる洗練されたフィンガーフードのよう。和とイタリアが鮮やかに融合した一品だ。

「パルミジャーノ レッジャーノは和の食材とも非常に相性がいい。その可能性の広さを伝えたかった」と小出シェフは語る。

いなり寿司 パルミジャーノ レッジャーノのアクセント。

デザートはシフォンケーキ、クレームブリュレ、そしてバニラアイスクリーム。シフォンケーキには生地とクリームの両方に少量を練り込む。入れすぎると食感が損なわれるため、あくまで“香りを忍ばせる”程度に。クレームブリュレは、アングレーズソースに溶かし込み、固まる直前で焼き上げる。仕上げにはフレッシュな削りをひと振り。

バニラアイスには削りたてをたっぷりと。マダガスカル産バニラの甘い香りに、熟成チーズの塩味とコク。そこに熟成バルサミコの酸味を垂らせば、味は立体的に広がる。

和の食材と出会ったパルミジャーノ レッジャーノは、驚くほど自然に溶け込んでいた。伝統を守りながらも、異なる文化との出会いによって新しい表情を見せる。その柔軟さこそが、このチーズの魅力のひとつであることを改めて感じさせる機会となった。

文 曽宮岳大
写真&映像 WAM Co. Ltd

※パルミジャーノ・レッジャーノが認定を受けるPDOとは:
パルミジャーノ・レッジャーノは、EUの原産地名称保護(PDO)に認定されているチーズです。添加物や保存料を一切使用せず、伝統的で自然な製法によって作られています。また、世界で最も模倣や偽造が多いチーズの一つでもあり、PDO制度はこのような製品の呼称や品質を守るために設けられています。

欧州連合規則 第1144/2014号に基づくプログラム101194314 ENSO-EU ― 欧州連合の共同出資による。
※EU規則1144/2014に基づく、EU支援の農産物販促プロジェクトです。