2026.03.01
オリンピック選手から母へ、潮田玲子さんが伝える子育てとアスリート育成のヒント
バドミントン日本代表としてオリンピックに出場した潮田玲子さん。女子ダブルスで長年日本代表を務め、世界ランキング上位に入る活躍を見せた。現在はバドミントン協会理事を務める傍ら、一般社団法人「Woman’s ways」の代表としても活動。タレント業や二児の母としての顔も持つ。加えて、さまざまな資格を取得するなど、その活躍の幅は多岐にわたる。今回は、そんな潮田さんに、自身の現役時代、そして母となった現在の視点や経験を通して、ジュニアアスリートを育てるためのヒントを伺った。
成長期を支えた食事と睡眠、家庭で大切にしていたこと
――小学生の頃から全国大会で活躍されていましたね。ジュニア時代に食事や睡眠などで気をつけていたことはありましたか。
「ジュニア時代には食生活について特別に何かを意識していたかというと、そこまでではなかったと思います。基本的には朝、母が作ってくれたご飯を食べて、日中は学校生活を送りながら放課後はバドミントンの練習。帰宅したら急いでご飯を食べて、お風呂に入って寝る、という毎日でした。ただ、今自分が母親になって強く感じるのは、食事の内容ももちろん大事ですが、大切なのは食卓の雰囲気かなと思います」

元バドミントン日本代表、潮田玲子さん。
――食卓の雰囲気ですか?
「大人でも食事中に嫌な話をされたら食欲がなくなりますよね。子どもも同じだと思います。例えば、私の場合ならバドミントンで良くないことがあった日に、家に帰ってきて食卓で反省会をしていたら、きっと食事は進まなくなってしまいます。でも、両親はそういうことを一切しなかったんです」
「よく私の練習を見に来てくれていたので、私の練習内容が良くないと思ったこともあったと思います。でも食事中にそれについて怒られた記憶は一度もないんです。その影響もあって、私自身も食事の席では子どもを怒らないということを大切にしています。『今日どうだった?』など、会話が弾むような声かけを意識していますね」

パルミジャーノ レッジャーノ チーズ協会とピックルボール国際大会とのコラボレーションでは、モデルのSHIHOさんとトークショーを行った。
――ご両親はもともとスポーツをされていたのですか。
「いいえ、まったくです。両親ともにアスリートではなく、ごく一般な家庭です。学生時代にスポーツをしていたことはあったかもしれませんが、それが仕事につながっているわけでもなく、スポーツ関係の仕事というわけでもありません」
――ジュニア時代の食生活についてお聞きします。どのような食事をされていましたか?
「特に『アスリートだから、これを食べるように』みたいなのはなかったんです。『出されたものは残さず食べよう』ということはずっと言われていたので、その結果、嫌いなものでも食べる習慣が身についたのは良かったと思います。ちなみに睡眠は、夜10時頃には寝て、朝7時に起きる生活でした。そのサイクルが崩れないようには心がけていましたね」

写真は、ピックルボール大会での1コマ。
試合中の補食とエネルギー摂取について
――バドミントンはハードなスポーツですが、試合中の補食やエネルギー管理について工夫していたことはありますか。
「それはかなり気をつけていました。補食のタイミングは計算していましたね。一般的には『試合の3時間前に起きて食事をする』と言われますが、バドミントンはウォーミングアップに1時間ほどかかり、その時点でかなりエネルギーを消費します。1ゲーム目は良くても、2ゲーム目、ファイナルゲームと長丁場になると、エネルギー不足に陥りやすい。なので、どのタイミングで何を食べるかはとても意識していました」

――具体的にはどんなものを食べていましたか。
「海外遠征では現地でバナナを調達していました。あとは自分たちで持参したご飯を炊いておにぎりを持って行ったり、ゼリー飲料もよく食べていました。国内の試合ではなんでも手に入りやすいので、大福など糖質が高く脂質が少ない和菓子を選ぶことも多かったですね。和菓子は栄養士さんから『補食にいい』と勧められていました。大福やお赤飯、羊羹なども食べていました」
声かけで育てる「考える力」
――現在、多くの資格をお持ちですが、取得された理由は何ですか。
「自分のライフステージの変化がきっかけです。結婚、出産、子育て、それぞれのタイミングで必要だと思った資格を取りました。野菜ソムリエやアスリートフードマイスターは、夫がJリーガーだったこともあり、食事作りをより具体的に学ぶためでした。栄養の知識はありましたが、調理の組み合わせなどを深く知りたかったんです。出産後は、初めての子育てで未知の連続だったので、産休中に時間があったので子育てに役立つ知識を学びました。『知らないより知っている方がいい』と思って学びましたが、学ぶこと自体も楽しかったですね」

――子育てで特に気をつけていることは?
「とにかく声かけです。『やりなさい』『練習しなさい』と言っても、子どもは動きません。親もイライラして負のループに陥ると思います。なので、子どもにその先を想像させる声かけを心がけています。『先に宿題をやったら、その後どうなりそう?』と聞くと、『テレビ見る時間ができる』と、子ども自身が答えを出す。そうすると、自分で気づいたという感覚になり、行動につながるんです。これは、私が幼少期に『やりなさい』と言われなかった経験が大きいと思います」

――成功体験を押し付けないんですね。
「人に言われてやっても続きませんし、考える力が育ちません。特にスポーツは、窮地に立った時に自分で考える力が必要です。親の気持ちが入りすぎて、子どもが楽しそうでなくなるのは一番もったいない。だから、自分で気づくような声かけを大切にしています」
チーズと食育、家庭の食卓
――潮田さんはチーズはお好きですか。
「大好きです。朝食では食パンの上にチーズを乗せて、チーズトーストにして食べることが多いですし、それこそ、サラダの上にパルミジャーノ レッジャーノをスライスして、バルサミコと塩、オリーブオイルで食べるのも大好きです。季節によってそこにリンゴを加えたりもします」

――どんな料理を作ることが多いですか?
「子どもたちがミートソースが好きなのでよく作ります。子どももチーズが好きなので、ミートソースの上にたくさんパルミジャーノ レッジャーノをかけますし、途中で追いチーズをしています。我が家ではそれが割と定番になっています(笑)」
――チーズをブロックのまま食べることもありますか?
「もちろん、あります。パルミジャーノ レッジャーノは香りが高く、コクがあるけど食べやすい。白い粒状のアミノ酸をおいしく食べられるのもいいですよね。他のチーズでここまでアミノ酸が際立ったものって少なくないですか? 天然由来ですし、我が家ではよく食べています」

――お子さんの食育の面で気をつけていることはありますか?
「私の場合と同じです。子どもって食べたり食べなかったりするじゃないですか。親としてはバランスを考えて出しているつもりなので、基本は『出されたものは残さず食べる』を大切にしています。それでいえば、チーズをかけると、子どもたちも好きでよく食べてくれるので、そういった工夫はしています」
――最後に、ジュニアアスリートを支えている親御さんへメッセージをお願いします。
「親の思いが強すぎると、それは子どもにとってプレッシャーになってしまうと思うんです。やっぱり自分の子ども時代を振り返ると、ありがたかったのは、両親から一度もプレッシャーを感じなかったことです。『辞めたい』と言った時も『あなたの人生だから』というスタンスで、見守ってくれていました。放置ではなく、口を出さず、そばにいる。家はオアシスで、外でがんばる子どもを応援する。それがアスリートを育てる上で大切なことかなと思います」

ジュニアアスリートを育てる家庭において、最も大切なのは、見守る姿勢と安心できる環境、と話してくれた潮田さん。そんな彼女はパルミジャーノ レッジャーノ好きという一面も。
潮田さんのインタビューでは、親が過度なプレッシャーをかけず、そばで支えることが、子どもの自発性や挑戦心を育むことにつながるという言葉が印象的だった。家庭が安全なオアシスのように感じられること。それこそ、アスリート育成における重要なヒントと言えそうだ。
文 曽宮岳大
写真 望月勇輝
※パルミジャーノ・レッジャーノが認定を受けるPDOとは:
パルミジャーノ・レッジャーノは、EUの原産地名称保護(PDO)に認定されているチーズです。添加物や保存料を一切使用せず、伝統的で自然な製法によって作られています。また、世界で最も模倣や偽造が多いチーズの一つでもあり、PDO制度はこのような製品の呼称や品質を守るために設けられています。
欧州連合規則 第1144/2014号に基づくプログラム101194314 ENSO-EU ― 欧州連合の共同出資による。
※EU規則1144/2014に基づく、EU支援の農産物販促プロジェクトです。

