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「土地と時間が育む伝統の味。パルミジャーノ レッジャーノのカット実演レポート」イメージ

11月11日の「チーズの日」に開催されたチーズフェスタは、試食やトークセッション、チーズ販売など多彩なプログラムが行われ、会場は終日にぎわいを見せた。そのなかで行われたパルミジャーノ レッジャーノのカットパフォーマンスは、来場者が足を止める人気企画のひとつとなっていた。

原材料から熟成まで:パルミジャーノ レッジャーノの作られ方

ステージでは、パルミジャーノ レッジャーノの基礎知識の紹介と、実際のホイールを使ったカットパフォーマンスが行われた。登壇したのは、イタリアから来日したパルミジャーノ レッジャーノ チーズ協会のシモーネ・フィカレッリ氏と、解説役を務めたパルミジャーノ レッジャーノ・インフォメーションセンターの采女さん。パルミジャーノ レッジャーノの背景を理解した上で、そのチーズがどのように割られるのかを体験できる場となった。

前半は、采女さんによるパルミジャーノ レッジャーノの概要紹介から始まった。
パルミジャーノ レッジャーノは、イタリア北部の限られた地域でのみ生産が認められており、その範囲はエミリア=ロマーニャ州およびロンバルディア州にまたがる。具体的には、パルマ県、レッジョ・エミリア県、モデナ県、レーノ川左岸のボローニャ県、そしてポー川右岸のマントヴァ県に限定されている。
牛乳の生産から、チーズへの加工、最低12か月にわたる熟成、包装、さらにはすりおろし加工に至るまで、そのすべての工程は、この指定地域内で行われなければならない。

エミリア=ロマーニャ州の農場。牛の飼料となる牧草はほとんどが同地域で作られる。

春から夏にかけて、牛は新鮮な草を食んで放牧され、冬には乾燥させた草から作った干し草が与えられる。飼料の質は、ミルクの風味に直接影響を及ぼす。パルミジャーノ レッジャーノの原材料は、生乳、塩、レンネットのみで、添加物は一切使用されない。非加熱の生乳が使われるため、ミルクに自然に含まれる乳酸菌が、チーズの熟成過程において重要な役割を果たす。

製造工程では、夕方に搾乳したミルクと翌朝の新鮮なミルクを銅製の大鍋に入れて加熱・撹拌し、凝固したミルクを作る。ひとつの鍋からは二つのチーズが作られる。その後、型に入れて成形し、約20日間塩水に浸けることで塩味と皮が形成される。最低12カ月の熟成期間を経た後、協会の検査員がハンマーで一つひとつを叩き、内部に亀裂や空洞がないかを確認する。合格したものだけが「パルミジャーノ レッジャーノ」として出荷される。

銅鍋から引き上げられた凝固したミルク。

パルミジャーノ レッジャーノは、直径約40センチメートル、重量およそ40キログラムの大きな円盤状(ホイール)で生産される。このサイズは、保存・備蓄食として発展してきた歴史に由来するものであり、また水分量が少ないため長距離輸送に耐えられるという特性とも関係している。
日本ではあらかじめ小分けに包装されたものが主流で、ホイールのまま目にする機会は比較的少ないが、イタリアでは約1キログラムの塊で販売されるのが一般的だ。

30カ月熟成のホイールを開く

後半はいよいよ、シモーネ氏によるカットパフォーマンスが行われた。今回使用されたのは、2023年4月に製造された約30カ月熟成のホイール。まずハンマーで周囲を叩き、検査員と同じ方法で内部に問題がないことを確認する。均一な音が返ることで、品質が確かめられる。

続いて、フックナイフで硬い外皮に線を入れ、短剣ナイフとアーモンド型のナイフを使って中心から割っていく。パルミジャーノ レッジャーノはナイフで「切る」のではなく、内部構造に沿って「自然に割る」ように開かれる。割れた断面には白い粒が見えるが、これは熟成によってタンパク質が分解されてできたアミノ酸の結晶で、十分に熟成している証拠だ。

この日のステージでは、パルミジャーノ レッジャーノがどのような土地で、どのように作られ、どのようにカットされるかを解説と実演の両方で知ることができた。

【Movie:Parmigiano Reggiano 】

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文 曽宮岳大
写真 望月勇輝

※パルミジャーノ レッジャーノが認定を受けるPDOとは:
パルミジャーノ レッジャーノは、EUの原産地名称保護(PDO)に認定されているチーズです。添加物や保存料を一切使用せず、伝統的で自然な製法によって作られています。また、世界で最も模倣や偽造が多いチーズの一つでもあり、PDO制度はこのような製品の呼称や品質を守るために設けられています。

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