2026.02.08
はちみつマイスターが語る はちみつの魅力とパルミジャーノ レッジャーノ 至福のマリアージュ
一般社団法人 日本はちみつマイスター協会の代表理事を務める河村千影さん。昔から大の付くはちみつ好きで、20年ほど前から毎日のように取り入れてきたそう。スクール講師として多忙な日々を送っていたときも常に体調は良好で、「はちみつのおかげかもしれない」と感じたのをきっかけにはちみつについて本格的に学びを深め、やがて同協会の代表理事へ。そんな河村さんに、はちみつの選び方やパルミジャーノ レッジャーノとのペアリング、さらにはレシピまで、はちみつの楽しみ方をうかがった。

一般社団法人 日本はちみつマイスター協会 代表理事の河村千影さん。家庭で人気のおかずや煮込み料理、パスタ、ご飯、おやつと、はちみつレモンを調味料としたレシピを紹介した本『うまみが詰まった万能調味料 はちみつレモンレシピ』を刊行。はちみつ料理研究家としてレシピ開発も手がける。
純粋はちみつとは?見分け方と分類
日本はちみつマイスター協会での活動を通じ、改めて気づいたはちみつの魅力はありますか?
「日本はちみつマイスター協会では、日本で購入できるもっともおいしいはちみつを選ぶ『ハニー・オブ・ザ・イヤー』を実施しており、2025年に8回目を迎えました。毎年150〜200ほどの出品があるのですが、すべて試食し、糖度を測定するなどの審査を行います。これらの試食を通じてこれまでに味わったはちみつはおよそ1500種類ほどになります。一つひとつに特徴があり、食べ比べることでこそ見えてくる、それぞれの個性や特徴に気づかされました」

はちみつは、いつ頃から人々に食べられてきたのでしょうか?
「養蜂の起源は古代エジプトにまでさかのぼります。パルミジャーノ レッジャーノは1000年近い歴史がありますが、実は養蜂にも同じように長い歴史があるんですよ。日本では近代養蜂が始まったのは江戸時代と言われていて、当時の木製の巣箱を使った養蜂がほぼ変わらず今に受け継がれています。ちなみに、日本の養蜂で広く導入されているセイヨウミツバチは、イタリア原産の『イタリアン種』です。日本とイタリアは気候が近いことから、イタリアン種が主流の品種として活躍しました。日本とイタリアのつながりを感じますし、歴史的背景のあるパルミジャーノレッジャーノとはちみつは、自然が生み出す“本物の恵み”であるというところが似ていますね」
純粋はちみつとそうでないものの違いについて教えてください。
「『本物のはちみつを選ぶにはどうしたらいいですか?』というお問い合わせをよくいただきます。『何か別のものが混ざっているのでは?』と心配される方が多いのですが、2019年5月にはちみつ類の分類が改訂されてからは、製品の裏ラベルに“はちみつ”と表記されていれば、それはいわゆる純粋はちみつと思っていただいて問題ありません。以前は、はちみつ以外の糖成分が入っていても“はちみつ類”として分類されていましたが、今ではローヤルゼリーやはちみつ以外の糖分などが加えられている場合、“はちみつ加工品”と表記することが義務付けられています。これは輸入品でも同様です。ですので、ラベルに“はちみつ”と書かれていれば、純粋はちみつだと考えて大丈夫です」
はちみつの種類や味の違いについて教えてください。

「はちみつは花蜜由来と樹液(甘露)由来に分かれます。今回はそれら6種類のはちみつをご用意しました。花蜜由来が北海道産クローバー(草花系)、長野県産リンゴ(果菜系)、スペイン産アーモンド(ナッツ系)、フランス産ラベンダー(ハーブ系)、石川県産アカシア(樹木系)です。樹液由来はスロヴェニア産もみの木(甘露系)です。大まかに分けると、草花系は軽やかな味わい、樹木系はどっしりした味わいが特徴です」

「また、百花蜜と単花蜜という分け方もできます。百花蜜はさまざまな花の蜜から作られ、単花蜜は一種類の花のみから作られます。はちみつは自然のものなのに、単花蜜がどうして一種類の蜜で作れるのかというと、セイヨウミツバチは咲いている花を見つけると、偵察役の働きバチが巣に戻り“8の字ダンス”などを踊ることで同じ巣の仲間たちとコミュニケーションをとり、たくさん咲く花に一斉に飛んでいきます。結果、同じはちみつが集まるというわけです。もちろん厳密には他の花の蜜を吸ったミツバチの蜜も多少は混ざりますが、大部分が同じ花の蜜から作られれば、単花蜜として扱われます。例えばアカシアの場合、6〜7割がアカシアであれば“アカシア”と名付けられます。同じアカシアでも原産地によって味が異なるのは、蜜源となる植物の植生などその土地の影響を受けるためです」

パルミジャーノ レッジャーノとのペアリングの楽しみ方
パルミジャーノ レッジャーノに合うおすすめのはちみつを教えてください。
「パルミジャーノ レッジャーノをブロックのまま食べる場合、クリームタイプのはちみつを組み合わせるのがおすすめです。クリームタイプのはちみつは攪拌してあるのでとろみがあり、チーズに乗せた際に液ダレせず、食べやすいと思います。クリームタイプにもいろいろありますが、アーモンドのハチミツはチーズに乗せると、まろやかなコクが感じられると思います。一方、ラベンダーのはちみつでは、ハーブの香りが楽しめます。これらのトロっとしたはちみつをパルミジャーノ レッジャーノにかけていただくと、口に入れた後にチーズの旨味と一緒に甘みが追ってくるように、はちみつが口の中でゆっくり広がるので、チーズの旨味と相乗効果で楽しめると思います。白ワインやロゼのおつまみにもぴったりだと思います」

パルミジャーノレッジャーノの熟成年ごとに合うおすすめのはちみつを教えてください。
「はちみつの風味は、蜜源となる植物によって大きく変わりますので、パルミジャーノ レッジャーノの熟成段階に合わせて、相性の良いはちみつを組み合わせると、さまざまなペアリングが楽しめます。たとえば、12ヵ月熟成のフレッシュで軽やかな味わいには、草花系はちみつのやさしい甘さがよく合うと思います。24ヵ月熟成のフルーティで旨味が深まったチーズには、果菜系やハーブ系はちみつのフルーツ感や豊かな香りがぴったり。さらに、30ヵ月熟成の力強くスモーキーな風味には、ナッツ系や甘露系といったコクのあるはちみつを合わせると互いの魅力が引き立ち、味わいがぐっと広がりますよ」


はちみつは花や土地、植生によって味わいが大きく変わり、さまざまなバリエーションが楽しめる奥深い食材であることがわかった。さらにパルミジャーノ レッジャーノとのペアリングもばっちり。ぜひお好みのペアリングを見つけお楽しみを!
【関連記事】
河村さんに教わったパルミジャーノ レッジャーノとはちみつを使ったレシピ
トウモロコシとマッシュルームのポタージュ パルミジャーノレッジャーノとはちみつがけ
米粉のガトー・ミエル パルミジャーノレッジャーノ風味 栗はちみつ添え
Text:曽宮岳大
Photo:望月勇輝
※はちみつは1歳未満の乳児には食べさせないでください。
※パルミジャーノ・レッジャーノが認定を受けるPDOとは:
パルミジャーノ・レッジャーノは、EUの原産地名称保護(PDO)に認定されているチーズです。添加物や保存料を一切使用せず、伝統的で自然な製法によって作られています。また、世界で最も模倣や偽造が多いチーズの一つでもあり、PDO制度はこのような製品の呼称や品質を守るために設けられています。
欧州連合規則 第1144/2014号に基づくプログラム101194314 ENSO-EU ― 欧州連合の共同出資による。
※EU規則1144/2014に基づく、EU支援の農産物販促プロジェクトです。

